【体験談】必読!実務補習の前に読むべき本は1冊だけ

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1次2次試験も口述試験も合格した。いよいよ実務補習だ。実際の企業に訪問して診断するらしいけどそんなことやったことないよ。チームに迷惑かけたくないし、恥かきたくないし、どうしたらいいの?

こんな不安にこたえます。

■ポイント

・実務補習を受ける前に読むべき本は1冊だけ
・名刺はつくってもつくらなくてもどっちでもいい

私は平成最後の実務補習に参加し不甲斐ない思いを経験しました。企業様の役に立ちたい気持ちはあるのに、何も分かっておらず何もできませんでした。訪問先企業様にはせっかくご協力いただいたにも関わらず申し訳ない気持ちでいっぱいです。

これから実務補習を受講する方に同じような経験をしてほしくないですし、少しでも企業様のためになってもらえたらと思います。ですので私の経験から、予めこういうことを準備していたらよかったのにということ、それを学ぶための書籍を紹介したいと思います。

私は今では新人診断士として実務に携わっています。数少ない実務ですし、まだまだ修行中の身ではありますが、今現在の基本のひとつとなっている内容です。これから診断士として活躍される皆様にも参考になれば幸いです。

実務補習の概要と体験談はこちら。

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結論としての1冊

この本を学びましょう。評価もいいですね。

タイトルに「再生コンサルティングの」とありますが、再生フェーズにかぎらず幅広く活用できます。ワード、エクセルのフォーマットをダウンロードでき非常に使えます。

実務補習や今後待ち受ける診断士実務では、どのようなことが求められるのか?また、この本では何を得られるのか?を説明していきたいと思います。

対象はどんな事業者?

業績の悪い小規模事業者です。

おそらく実務補習で訪問する企業は「小規模事業者(製造業その他:従業員20人以下、商業・サービス業:従業員5人以下)」くらいの規模だと思います。ご承知のとおり、世の中のほとんどの事業者は中小企業で、そのなかでも小規模事業者が全体の85%を占めています。みなさんが接するお客様もほとんどが小規模事業者になるかと思います。イメージとしては、街の商店街のお菓子屋さんや町工場といったところです。

出典:中小企業庁HP

そしてほとんどの事業者の業績はよくありません。もちろん世の中には好調の事業者さんもいますが、みなさんが接する企業さんはそうではありません。業績があまりよくないので、商工会や金融機関を通じてみなさんとコンタクトを取ることになるわけです。

ちなみに診断士の世界では事業者から直接連絡があることは少ないように思います。事業者に身近な商工会、金融機関や会計事務所などから紹介があることが多いようです。また信用保証協会、中小企業庁、都道府県、市町村それぞれが中小企業を支援するための施策として「専門家派遣」制度を有している場合があり、その専門家として中小企業診断士が呼ばれることが多いです。いわゆる公的診断です。このあたりはまた別で記事にしたいと思います。

つまり業績の悪い小規模事業者が主な対象となります。では業績の悪い小規模事業者に対してどのような支援が求められるのでしょうか?

業績を上げる・事業をたたむ・引き継ぐ

第一に業績を上げる支援をします。

そのためには、業績が悪化した原因を究明(窮境要因の特定)し、その除去可能性を探り、その上で売上向上やコスト削減などの施策を検討します。例えるならお医者さんです。各種の症状から病気を特定して薬を処方する、あわせて生活習慣の改善など予防医療を指導します。事故で大出血をしている場合には、緊急的な止血や手術が必要になりますし、長期のリハビリも必要かもしれません。患者の状態によって、手術、薬、リハビリと様々な手法を組み合わせ、また医師、看護師、各種コメディカルの協力が必要になります。いずれの場合も命を助け、QOLを上げる手助けをします。中小企業診断士は企業のお医者さんと考えて差支えありません。

さらには業績の改善動向を踏まえ、事業の継続可否を検討します。

このまま事業をたたむことも十分に考えられます。特に最近では会社清算に特化したセミナーやコンサルが出始めています。この分野は、債権債務の処理、清算手続き、雇用契約の解消など、税理士や社労士のみならず弁護士が主体となって動きます。係争リスクがあるため、よほど慎重に対応する必要があります。

一方、事業価値が見いだせるなら、親族および第3者への承継を検討します。いわゆる事業承継の分野で、大きく経営承継資産承継に分かれます。資産承継に関しては譲渡や相続など税務上の検討が必要になります。第3者承継というとM&Aに代表されるような、切った売ったの世界をイメージされると思いますが、商品売買のように簡単ではありません。重要なのは経営承継であり、経営者の交代前後にわたる支援が必要となります。特に中小企業では会社イコール社長のように、事業の全てが社長の頭の中、経理の全てが奥さんの頭の中、実務の全てはベテランしか分からないといったケースが多いです。属人的な事業をひもとき、汎用的な仕組みに変換できなければ事業を引継ぐことはできません。業績向上にあわせて事業承継の土台づくりを進めます。また承継後には、買い手と売り手の組織風土や仕組みの融合が必要となりますし、後継者が年上のベテランを動かすための組織作りも必要となります。これらの取組を経営者が1人で行うことはまず不可能なので、中小企業診断士が支援します。

つまり窮境要因の特定と除去可能性の検討を出発点に、内外環境を踏まえた最良の策を立案し、多様な関係者と協力しながら、業績改善や事業承継など社長の想いを実現することが診断士には求められています。実務補習も同じです。全ての段階において限られた範囲にはなりますが、目指すところは同じです。

窮境要因ってなんだ?

ところであなたは窮境要因という言葉をご存知ですか?

恥ずかしながら私は実務に携わるまでこの言葉を知りませんでした。診断士試験の予備校やテキストで学べるのかもしれませんが、私は独学でまとめテキストしか読んでおらず、全く知りませんでした。

ところが実務においては、窮境要因の特定が出発点となります。にも関わらず、試験では学んでいない。にも関わらず、実務補習で実際の事業者を診断する。このままでは受講生も事業者もかわいそうなことになります。私が経験しました。だから窮境要因の特定と除去可能性の検討について学ぶ必要があります。お勧めしたいのがこちらです。

一般的な経営改善支援は、①事業調査報告書(財務デューデリジェンス/事業デューデリジェンス/法務デューデリジェンス)②経営改善計画書③実行支援、に分かれます。①の財務DDは税理士、法務DDは弁護士、事業DDと②は中小企業診断士が担当することが多いようです(③実行支援は主要プレーヤー不在!?)。案件によって法務DDは実施しないこともあるし、簡易な財務DDは診断士が実施することも多いです。

そして本書は①の事業DDが中心となります。事業DDに特化した書籍はほとんどなく、基本書として本書がベストだと思います。評価もいいですね。

実は実務補習で作成する診断報告書の見た目はむしろ②経営改善計画書(改善のために何をするか?)に近いかもしれません。ですがその前提に①事業DDがあり、窮境要因の特定があります。おそらく診断書には窮境要因の文字は出ません。あくまで実務補習なので、それほど業況の悪い先には訪問しないことや、ともすると「社長の○○がダメだ」という指摘になりうるため、あえて避けていると思われます。実際の診断においても直接的に言及することはありません。

究極的には個人の価値観に基づく判断が全ての要因なのですが、そこを改善できるかといえば現実的には困難ですし、正面から「あなたのその考え方がダメ」と言われたら怒るのが当然で、実は社長もそんなこと分かってることもしばしばなので、婉曲的にその価値観を前提とした仕組みの構築に焦点をあてます。この部分にどのようにアプローチするかが診断士業務の醍醐味の1つで、非常にウェットで人間味が出てくる部分だと思います。結局のところ、社長に具体的な行動を起こしてもらうことが全てですので、そのためだったら手段を選びません。

窮境要因の特定とは、内外環境を含む事業の特徴の変遷をつぶさに捉えることです。これは同時に強みの抽出も意味します。ですので、再生フェーズに限らず好調で新たな取組を支援する際にも手法としては同じになります。経営支援の基本は窮境要因の特定だと言えます。だからこそ実務補習の段階でこの考え方を習得しておけば、診断先の企業様もあなたも互いによりよい状態に向かうことが出来ます。さらにチーム全体の基本書になればなおスムーズに進むのではないでしょうか。

名刺はどうする?

チームメンバーや訪問先に渡すために名刺を作る人もいるようです。試験合格後、登録前なので「登録前」とか「未登録」とつけるようです。
私が参加した実務補習では、オリジナル名刺を使っているのを見たり、聞いたりしたことは一度もありませんでした。チームメンバー同士は所属組織の名刺を交換しました。訪問先に対しては、先生から「研修生なので」と説明いただきました。訪問先と所属組織が何かしらの利害関係にある場合もあるので、所属組織の名刺は渡さないことにしているようです。
実は私はweb情報を頼りに名刺を作成していました。組織の名前を背負わずに自分の名前だけの名刺に憧れ、紙質・フォントやデザインにこだわって作りました。屋号も考えたりして。
ですが一度も使いませんでした。かねてから人と異なることにおびえた人生を送っていたため、周りが誰も使っていない様子を察知して、ずっと仕舞い込んでいました。お恥ずかしい。
ですので、使っている人は少数ですが、使いたい人は作るといいと思います。

以上、全て私見であることを再度ご確認いただきつつ、有意義な実務補習となることを祈っています。頑張ってください。応援しています。

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