学生の頃から数学は苦手。公式まったく覚えられない。
CVP分析ってグラフとか数式とかいっぱいあってよくわからない。
この記事はこんなお悩みを解決します。
- CVP分析(損益分岐点分析)に公式はいらない
- マネーブロックで図解すれば簡単
- 実務でも最高に使える
CVP分析は受験生を悩ませるが超大事
損益分岐に係る問題は、中小企業診断士試験において避けることが出来ない重要論点です。
1次試験と2次試験で毎年のように出題されます。
財務会計を苦手とする受験生が多いと思いますが、ここを完璧にできれば合格に大きく近づきます。
ところで、CVP分析は目標利益の達成に必要な売上高を求めるために行います。追加の人件費や投資が必要となれば、それらを考慮して計算します。
これは経営において最も重要な将来ビジョンに直結します。中小企業診断士は、社長や経営陣と将来ビジョンを描き、数値計画を算出し、行動計画をつくり、その実現をサポートします。
ですので、この論点は実務においても最重要となりますので是非マスターしましょう!
ここでは公式を使わない解法を紹介します。
この解法を使って社長に説明すると喜ばれること間違いなしです。
例題:平成30年度 財務・会計 第11問
実際の試験問題を見てみましょう。
まずは通常とおり公式を使って解いてみます。
(設問1)
これを公式で解くなら、上の公式の分子に目標利益を加えた下の式に数値を代入します。
目標売上高=(固定費104,000+目標利益55,000)÷(1-変動費率96,000÷240,000(%))=265,000
答え イ
(設問2)
ここでは予想営業利益が問われています。
営業利益=売上高ー変動費ー固定費
ですので、これに代入します。
営業利益=売上高190×1,400ー変動費80×1,400ー固定費(104,000-2,000)=52,000
答え ア
このレベルならすぐに解ける、という方もいるかと思います。
ですが、いずれ公式は忘れます。試験の際には公式があってるかどうか不安になります。
また数字だけで考えているとイメージできず、途中で何を求めようとしているのか分からなくなることもあります。
そこで、公式に頼らず忘れることのない簡単な解法を紹介します。
マネーブロック
下の図はマネーブロックという図表です。
会計事務所にお勤めの方はストラック図という名称で馴染みがあるかも知れません。
売上から利益までの流れをざっくりシンプルに分かりやすく表現したものとなります。
売上高から変動費を引いた「限界利益(貢献利益)」の部分は人や業界によって呼び方や考え方が様々です。専門的には「限界利益」と呼びます。
今回の問題では「貢献利益」を用いています。
また「営業利益」の部分も営業外損益を加味した「経常利益」とする場合もあります。
このあたりは問われ方に応じて対応します。
(設問1)
与件文をまとめると現状は左の図となります。
そして、目標営業利益を55,000に変更したものが右の図となります。
ここで右図の貢献利益=固定費+営業利益なので、104,000+55,000=159,000となります。
貢献利益率は左図から変更ないので60%のままです。
売上高は貢献利益を貢献利益率で逆算して算出します。
売上高=159,000÷60%=265,000となります。
※逆にみると、売上高に貢献利益率60%をかけると貢献利益がでます。
(設問2)
今度は、売上高の左に図を加えます。
売上高=単価×数量ですので、単価と数量のボックスを書きます。
単価のボックスには1個あたりの変動費と貢献利益も記載します。
与件文の現状をまとめると次の図になります。
次に、設問の条件を赤字で加えます。
まず、価格を190に値下げします。
ここで注意したいのは、値下げしても変動費は変わらないということです。
例えば1個200円の大福の材料費が80円だった場合、値下げしても材料費が安くなるわけではありません。高くもならず、変わりません。
ですが貢献利益がその分下がります。120から110になります。
一方、数量は値下げの効果でしょうか、1,200から1,400に増加が予想されます。
さらに、固定費は2,000削減となります。
次に、上記の条件から図を修正していきます。
売上高は190×1,400=266,000です。
変動費は80×1,400=112,000です。1個あたりの変動費は変わりませんでしたが、数量が変わったので全体の変動費が変化することに注意してください。
貢献利益は売上高から変動費を引いた154,000です。110×1,400=154,000で確認します。
固定費は104,000-2,000=102,000となります。
営業利益は貢献利益ー固定費なので、154,000-102,000=52,000となります。
いかがでしょうか?
まず現状を書く。次に変更点を追記する。そして空いた部分を修正していく。するといつの間にか答えが出ている。
なおこの解法は2次試験でも対応できます。
ちなみにコンサル実務でも重宝します
中小企業には経営企画室はありません。
中小企業の社長さんの多くは60才以上です。
中小企業の社長さんの多くは上3ケタの数字しか興味ありません。
口だけで伝えようとしても伝わりません。
なので決算書や月次試算表をいくら説明してもあまり伝わりません。そもそもこれらは過去の結果です。
マネーブロックは現状をざっくり理解して、この先大きな方針としてどうするか考えるためのツールです。
せっかく実務に直結する試験問題なので実務で使う考え方で解くのがよいと思います。試験予備校の解答例では公式による解法ばかりですが、こちらの解法も使ってみるといいかも知れません。
ちなみに、このツールを中心としたコンサルで月1訪問15~30万円の顧問契約を結んでいる方もいるようです。
コンサルの成果は限界利益をどれだけ増やしたかで計測できます。仮に限界利益を1億円増やせるのであれば10%の報酬も妥当かもしれません。固定費不変なら。
- CVP分析(損益分岐点分析)に公式はいらない
- マネーブロックで図解すれば簡単
- 実務でも最高に使える
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