(試験合格者)登録要件は実務補習か実務要件だけど、実務要件ってなんだろう?普段の仕事が実務従事に認められたら楽なんだけどな。
(企業内診断士)更新の実務ポイントが足りなくて困ってる。どうしたらいいの?
こんな不安にこたえます。
記事の内容
・企業内診断士の実務要件を満たす方法が分かる
私は平成最後の診断士試験に独学3ヶ月で1次2次ストレート合格しました。
実務補習15日間コースを受講後、令和元年に診断士登録をして活動を開始しました。
試験合格後の登録要件には実務補習か実務要件の2つの選択肢があります。
実務補習にはおよそ15万円の参加費がかかるため、実務要件を選択できないものかと色々と調べました。
最終的には実務補習を選択しましたが、5年後の更新に向けて実務要件を満たす必要があることに気づきました。
中小企業診断士につきまとう実務要件について解説します。
なお実務補習に関しては以下の記事をご覧ください。
実務要件が必要になるのはいつ?
新規登録の際、あるいは更新登録の際に必要になります。
新規登録
新規登録とは、中小企業診断士試験の1次、2次試験合格後に初めて登録する際のことです。
ここでは合格後3年以内に、①実務補習か②実務要件(15日以上)が求められます。
どちらかの選択になります。
多くの方が実務補習を受講していますが、実は実務要件の存在を知らない人がたくさんいるようです。
本業の日常業務が実務要件を満たしている場合もあります。
詳しく確認していきましょう。
新規登録申請の要件
(1) 中小企業診断士試験第一次試験および、第二次試験合格者
第二次試験合格日以降で以下1)または、2)の実務要件(15日以上)を満たすこと。
1)登録実務補習機関が行う実務補習を受講したこと
2)中小企業者に対する経営の診断助言業務または、経営の窓口相談業務に従事したこと。
(2) 中小企業診断士養成課程または、登録養成課程修了者
中小企業診断士試験第一次試験に合格し、中小企業大学校の養成課程または、登録養成機関が行う登録養成課程を修了したこと
なお、(1)、(2)いずれの場合も省令で定める欠格要件に該当しないこと出典:中小企業庁HP
更新登録
診断士登録の有効期間は5年間です。
そのため、5年毎に更新登録が必要になります。
ここでは①専門的知識補充要件と②実務要件が求められます。
新規登録の際と違って、①と②の両方が必要ですので気をつけてください。
①専門的知識補充要件
各協会で実施される理論政策研修を受講する方が多いです。
東京では受講者多数によりすぐに募集定員に達してしまうため早めの申込が必要です。
あぶれた方は近隣県の研修に参加しているようですね。
5年間で5回以上の実績が必要になるので、毎年受講する方が多いようです。
(1) 専門知識補充要件
以下のいずれかを合計して5回以上の実績を有すること。
1) 理論政策更新(理論政策)研修を修了したこと。
2) 論文審査に合格したこと。
3) 理論政策更新(理論政策)研修講師を務め指導したこと。出典:中小企業庁HP
ちなみに理論政策研修の実施機関は以下となります(令和元年7月1日時点)。
理論政策更新研修実施機関
理論政策研修実施機関
独立行政法人中小企業基盤整備機構中小企業大学校
旭川校
仙台校
三条校
東京校
瀬戸校
関西校
広島校
直方校
人吉校
②実務要件
5年間で30日以上、1)診断助言業務等、2)実務補習、3)実習、実務補習を指導、いずれかを行うことが求められます。
微妙に新規登録の際の実務要件と異なっているので気をつけてください。
今回は実務補習も実務要件のひとつになっています。
(2) 実務要件
以下のいずれかを合計して30日以上行ったこと。
1) 診断助言業務等に従事したこと。
2) 実務補習を受講したこと。
3) 実習、実務補習を指導したこと。出典:中小企業庁HP
まとめると
実務要件が求められるのは、①新規登録のときは選択肢のひとつとして、②更新登録のときは必須項目として必要になります。
実務補習はだいたい1日1万円かかります。
①新規登録なら15日間で15万円、②更新登録なら30日間で30万円かかります。
企業内診断士にとって普段の仕事が実務要件を満たしていたらありがたいですよね。
実務要件の中身を見てみましょう。
実務要件を満たす業務ってなに?
上記の要件1)〜3)をもう少し細かく分けると以下になります。
診断助言業務等の中に①診断助言業務と②窓口相談業務があります。
1) 診断助言業務等に従事したこと。 | 経営の診断助言業務 経営に関する窓口相談業務 |
2) 実務補習を受講したこと。 | 登録実務補習機関が行う実務補習の受講 |
3) 実習、実務補習を指導したこと。 | 登録実務補習機関が行う実務補習の指導 |
養成課程または。登録養成課程で行う実習の指導 |
①診断助言業務と②窓口相談業務
ではさらに①診断助言業務と②窓口相談業務を詳しくみてみます。
企業内診断士としては以下の8.9.の可能性があります。
どちらも①の診断助言業務になります。
- 診断士が事業として行う中小企業者に対する経営の診断、助言業務
- 国(中小企業庁等)の委嘱を受けて行う診断助言業務(例えば、ミラサポ専門家派遣事業による診断助言業務)及び、窓口相談業務(例えば、よろず支援拠点事業による窓口相談業務)
- 都道府県・政令指定市(中小企業支援センター等)の委嘱を受けて行う診断助言
業務及び、窓口相談業務- (独)中小企業基盤整備機構の委嘱を受けて行う診断助言業務及び、窓口相談業
務- 中小企業関係団体等(商工会、商工会議所等)の委嘱を受けて行う診断助言業務
及び、窓口相談業務- 医療又は歯科医業を主たる事業とする法人(医療法人等)、社会福祉法人及び
NPO 法人に対する診断助言業務及び、窓口相談業務で上記と同等の業務- (独)国際協力機構(JICA)等からの委託等で行う中小企業の振興に関する国際協力等のための海外における診断助言業務及び、窓口相談業務
- 中小企業に勤務し経営者からの指示で行う自社に対する診断助言業務、ただし所
属部門のルーティンワークを除く- 金融機関や大企業等に所属し、取引先等中小企業者に対して行う診断助言業務
出典:「Q&A 申請書、証明書等の作成要領」を一部編集
もしかしたら今の仕事で要件を満たすかもしれませんね。
もう少し詳しく確認してみます。
診断助言業務
さらに上記8.9.の具体例が以下となります。
該当しませんか?
自社に対しては、
IT担当や経営企画もしくは総務部署でIT化の取り組みを推進していませんか?
業務プロセスの改善に取り組んでいたりしませんか?
あるいは経理担当で経営数値に関する提言をしていませんか?
新規事業に取り組んでいませんか?
ものは言いようではありませんか?
金融機関に勤めていたら、
取引先企業の財務諸表に基づいて経営改善を指導していますよね?
M&Aや事業承継を推進してますよね?
その他の事業会社で、
取引先に業務プロセスの改善に役立つツールを販売していませんか?
子会社の事業管理をしていませんか?
川上川下と一緒にバリューチェーンの最適化に取り組んでいませんか?
あくまで可能性ですが、検討の余地ありではありませんか?
くれぐれも個別の事案に関しては担当部局にご確認ください。
診断助言活動の相手方に要注意!
実務要件となる診断助言活動を行う相手方には制限があります。
以下の(2)は令和元年7月に追加(「中小企業診断士の新規及び更新登録の要件となっている実務従事の対象拡大について」令和元年 7 月 31 日中小企業庁経営支援課)となりました。
詳細は出典リンク先をご覧ください。
A3-1.診断士の実務従事の対象となるものは、中小企業支援法(昭和38年法律第147号)第2条第1項第 1 号から第5号に規定する者で次頁の(1)中小企業者一覧表に示す、事業を営む日本の会社及び個人、中小企業関連法令で定められた団体(2)継続的に収益事業を行う法人に示す、一定の要件を満たす医業又は歯科医業を
主たる事業とする法人(医療法人等)、社会福祉法人、特定非営利活動法人(NPO 法人)です。
本業が実務要件に該当しない人はどうする?
更新の際には必ず実務要件が求められます。
企業内診断士で、上記の要件に該当しない場合はどうしたらいいでしょうか?
①都道府県協会の実施する診断実務従事への支援事業に参加する
こちらでは診断実務と窓口相談の機会を提供しています。
各機関が提供する案件は以下からごらんください。
②民間企業の実施する診断実務従事への支援事業に参加する
例えば、以下の会社で実務従事や実務補習を提供しています。
協会案件ではどうしても日程が合わない場合など検討してみると良いかも知れません。
まとめ
- 試験合格後3年位内に、実務補習 or 実務要件(15日)
- 5年毎に、専門的知識補充要件 + 実務要件(30日)
- 企業内診断士は本業が実務要件に該当するかも
- 該当しなかったら、協会や民間企業が開催する実務従事に参加すべし
以上、今回は実務要件について解説しました。
私の実感では周りの受講生や現役診断士もあまり知らない人が多かったので、参考になれば幸いです。
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実務補習について知りたい方はこちらもどうぞ。
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